作品は、空間内に、重力とそれに対する抵抗力という、2つの引き合う仮想の力学場を特殊な装置とセンサーによって構築されている。その中に観客が入って自由に歩き回ることで、普段自覚的に意識していない身体への重力の負荷と、それに対抗する反力を感じることができ、また他の体験者の力の作用も感じ取ることができる。

参加している体験者全員の動きと変化が、センサーを通じて音・光(LED)・画像の動きに生成され、空間全体が大きく変容していく体験型のインスタレーション作品である。

またGPSにより展示空間が同時に位置計測され、受信している複数のGPS衛星も作品の力の一部となり、地球の外部における観測点を取り込んでいる。これは、わたしたちの知覚領域が拡張されたものとして、インスタレーションの場も重力によって、常に運動している相対的場であることを提示し、多義的な重力の解体の可能性を感じとっていくための美術作品となっている。

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© Gravity and Resistance project 2004